ビジュアル・キューイング
2021/2/1
こんにちは、ZONEアカデミーのWataruです。
[ キューイングの魔法 ]と題してシリーズ化し、前回より引続き記事を書いていこうと思います。
vol.1の記事はこちら
ピラティス中でもよく使われる指導法の一つに「ビジュアル・キューイング」と言うのがあります。視覚的な情報入力による運動学習を補助する目的で提供されるものです。
自らが動いてそれを見てもらい、期待する動作を理解して実践してもらおうとする手法にはデモンストレーションがあります。その重要性は十分承知していますが、今回はそれ以外のところを考えてみましょう。
そもそも視覚とは?
そもそも視覚とは、光の明暗、明るい暗い、色に関する感覚、と言われています。
その他広義に視覚という言葉が意味するものには、奥行知覚(立体視)があります。= 奥行きを考えるというものです。
そしてもう一つが、運動知覚(運動視)。空間での身体の認知には大変重要な要素です。
そもそも私たちの脳がどんなプロセスで、視覚を理解しているのか?・・・
網膜で受け取った刺激は視床に中継され、視覚野に届けられて認識されます。
詳しくはこちらでも。
ヒトや動物は、目に入ってくる光の信号をもとに、どこに何があるのか、刻々と変化する周りの環境の多くを把握しています。そうした溢れるような視覚情報の渦から必要な情報を取捨選択して、脳は整合性のあるイメージを作り出しています。今回、自然科学研究機構・生理学研究所の松井広(まつい・こう)助教らの研究グループは、どのような信号を脳へ伝えるべきか、その取捨選択を、目から脳への神経のつなぎ目にあたる中継シナプスが担っていることを明らかにし、信号選別の仕組みを解明しました。米国神経科学会誌(ザ・ジャーナル・オブ・ニューロサイエンス2012年2月15日号電子版)
https://www.nips.ac.jp/sp/release/2012/02/post_202.html
情報のデータにもよるのですが、五感の知覚の中で視覚が占める割合は8割から9割とされています。 * 50年近く前のデータゆえに最新の見解が気になりますが…
五感の知覚詳細 / 味覚1.0%、触覚 1.5%、臭覚 3.5%、聴覚 11.0%、視覚 83.0%
視覚は膨大な量の情報を瞬時に判断し、1秒間あたりの情報量は、音など聴覚の600倍近い量の情報が視覚からもたらされているなんて言う報告もあります。
視覚のもつ働きに驚くデータをお伝えしましたが、
視覚といっても、これもある種のコミニュケーションの一つなんです。
キューイングも見てくれて受け取ってくれる相手がいなければ、単なる不思議なヒト、変な人になっちゃいますよね。。。。。
お互いがいて成立するやりとりなので、まさしく コミニュケーション です。
かつて、コミニュケーションの科学を勉強したくて心理学、演劇学、文化人類学、スピーチ・コミニュケーション学などを学際的に網羅して学んだ時期があり、興味が高じて色々な方にそうした学びを指導させて頂くまでになりました。
これが後に、ピラティスのインストラクターを始めた時に大いに助けられる知識となりました。
コミニュケーションとしての観点から、視覚的情報の重要性を考えてみたいと思います。
意図の表現には、言語表現とそれ以外の非言語表現があります。
心理学者のアルバート・マレビアンが整理したそれぞれの項目と割合は以下のようなものがあります。
言語表現 :言語情報(Verbal:7%):話の内容、言葉そのものの意味
非言語表現:聴覚情報(Vocal:38%):声の質・速さ・大きさ・口調
視覚情報(Visual: 55%):見た目・表情・しぐさ・視線
日本特有のデータとして、非言語情報に依存する傾向が示されています。
私たち日本人は元来、仕草や表情に相手の真意を見出そうとする、状況などの言語以外の情報の非言語表現を重視するとされます。 状況(コインテキスト)に由来することから、
「高コンテキスト文化」と言う表現がされます。 その対局は言語そのものに意味を読み取る低コンテキスト文化となります。
「愛してるよ」と言葉で伝え確認する欧米と、背中で語ろうとする日本、といった感じでしょうか。どちらが良いと言うわけではありませんが、そうした特徴があります。
だからこそ視覚的メッセージが重要だと考えるわけです。
続きは次月へ
次月は、ジェスチャーとポスチャーについて… お楽しみに。
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